相続などで空き家を所有することになったものの、「住む予定はないけれど、売るべきか貸すべきか分からない」と悩む人は少なくありません。
空き家は、賃貸物件として貸し出す、売却する、民泊やシェアハウスとして使う、地域の交流拠点として活用するなど、複数の選択肢があります。ただし、どの方法が向いているかは、立地や建物の状態、修繕費、管理できる範囲によって変わります。
活用方法を決めるときは、「収益が出そうだから」という理由だけで選ばず、必要な初期費用や維持管理の負担まで含めて比較することが重要です。
この記事では、空き家の主な活用方法と、それぞれの特徴、選び方のポイント、活用する際の注意点について解説します。
Contentsこの記事でわかること
- 🏠 空き家を活用する主な方法
- 💰 賃貸と売却の違い
- 🧳 民泊・シェアハウスとして活用する考え方
- 🏘️ 地域拠点として活用する方法
- 🔍 立地や建物状態から活用方法を選ぶポイント
- ⚠️ 空き家を活用するときに確認したい注意点
空き家活用の主な選択肢

空き家の活用方法は一つではありません。
継続的な収入を得たい場合は賃貸、今後管理する予定がない場合は売却など、目的によって適した方法は変わります。また、住宅としての需要が低い地域でも、民泊や地域拠点など別の用途で活用できる可能性があります。
まずは代表的な選択肢の特徴を確認しましょう。
賃貸物件として貸し出す
空き家を手放さずに活用したい場合は、賃貸物件として貸し出す方法があります。
入居者が見つかれば家賃収入を得られるため、空き家を所有し続けながら収益化できる点が特徴です。
特に、駅や商業施設、学校などに近く、住宅需要のある地域では賃貸として活用しやすい場合があります。
一方で、そのまま貸し出せるとは限りません。
長期間空き家だった住宅では、
- 給湯器や水回りの故障
- 壁紙や床の劣化
- 雨漏り
- エアコンなど設備の不具合
- 庭や外構の荒れ
などが発生していることがあります。
入居者を募集する前に、修繕や清掃が必要になる場合もあるため、初期費用を確認しておくことが重要です。
また、入居後は設備故障への対応や家賃管理、退去時の手続きなども必要になります。
自分で管理するのが難しい場合は、不動産管理会社へ管理を委託する方法もありますが、その分の費用も考慮する必要があります。
賃貸活用を検討するときは、「毎月いくらで貸せそうか」だけでなく、修繕費や管理費を差し引いても維持するメリットがあるかを確認しましょう。
売却する
今後自分や家族が使う予定がなく、継続的な管理も難しい場合は、売却する方法があります。
売却できれば、その後の建物管理や固定資産税などの負担を減らせる点が大きなメリットです。
特に、
- 遠方に住んでいて管理できない
- 相続したものの利用予定がない
- 修繕費をかけたくない
- 兄弟など複数人で所有している
- 将来的にも住む可能性が低い
といった場合は、売却を検討する価値があります。
ただし、希望する価格ですぐに売れるとは限りません。
建物が古い場合や立地条件によっては、買い手が見つかるまで時間がかかることがあります。また、建物付きのまま売るか、更地にして売るかによっても条件が変わります。
そのため、まずは不動産会社などへ相談し、現在の状態でどの程度の価格が見込めるのか確認することが重要です。
売却前に大規模なリフォームを行っても、その費用を売却価格へ十分反映できるとは限りません。
「直してから売るべきか」「現状のまま売るべきか」も含めて比較してから判断しましょう。
民泊・シェアハウスとして活用
一般的な賃貸以外に、民泊やシェアハウスとして活用する方法もあります。
観光地や宿泊需要のある地域では、空き家を宿泊施設として活用できる可能性があります。
また、部屋数の多い住宅であれば、複数人が共同生活するシェアハウスとして活用する方法もあります。
ただし、通常の賃貸住宅よりも準備や管理の負担が大きくなる点には注意が必要です。
民泊では、営業方法に応じて住宅宿泊事業法などのルールを確認し、必要な届出や手続きを行わなければなりません。
さらに、
- 宿泊者への対応
- 清掃
- 鍵の受け渡し
- ごみの管理
- 近隣への配慮
- 設備の維持
など、継続的な運営が必要になります。
シェアハウスについても、複数人が生活できる設備や管理体制が求められます。
そのため、「空いている家だからそのまま使える」と考えるのではなく、用途に適した建物か、必要な改修費をかけても採算が取れるかを検討することが重要です。
地域拠点として活用
住宅として貸したり売却したりする以外に、地域で利用できる場所として活用する方法もあります。
たとえば、
- 地域交流スペース
- 子どもの居場所
- 高齢者の交流拠点
- コワーキングスペース
- 店舗や小規模事業所
- イベントスペース
などです。
住宅需要がそれほど高くない地域でも、地域の課題や需要と合えば別の使い方ができる可能性があります。
自治体によっては、空き家バンクや地域活性化に関する制度を設けている場合もあります。
ただし、地域利用の場合も、建物の安全性や設備、用途に応じた改修が必要になることがあります。
また、「地域のためになる」という理由だけで始めると、維持費や運営負担を所有者が抱えることになりかねません。
誰が運営するのか、利用料を取るのか、修繕費や光熱費をどう負担するのかまで決めてから進めることが大切です。
| 活用方法 | 向いているケース | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 賃貸 | 住宅需要があり、所有を続けたい | 修繕・管理費がかかる |
| 売却 | 今後利用予定がなく管理を終えたい | 希望価格で売れるとは限らない |
| 民泊・シェアハウス | 宿泊・共同住宅の需要がある | 法令・運営・改修の確認が必要 |
| 地域利用 | 地域内で利用ニーズがある | 運営主体と維持費の整理が必要 |
ポイント
空き家には、賃貸、売却、民泊・シェアハウス、地域拠点など複数の活用方法があります。収益性だけで判断せず、立地、建物の状態、初期費用、管理負担を含めて比較することが重要です。今後使う予定がない場合は、活用にこだわらず売却も含めて検討しましょう。
活用方法の選び方(立地・建物の状態で判断)

空き家の活用方法は、「どの方法が一番儲かるか」だけで決めるのではなく、立地や建物の状態、今後どの程度管理できるかを総合的に考えて選ぶことが重要です。
同じ空き家でも、駅に近い住宅と郊外の古い一戸建てでは、向いている活用方法が異なります。まずは物件の現状を把握し、無理なく続けられる方法を絞り込みましょう。
立地から需要を確認する
最初に確認したいのは、その地域にどのような需要があるかです。
たとえば、駅や学校、商業施設などに近い地域では、一般的な賃貸住宅として需要が見込める場合があります。
一方、観光地や宿泊施設が多い地域では、民泊など別の用途を検討できる可能性があります。
地域利用を考える場合は、周辺に交流施設や店舗、作業スペースなどへのニーズがあるかも確認します。
立地を見る際は、次のような点を整理しておくと判断しやすくなります。
- 駅やバス停からの距離
- スーパーや病院など生活施設の有無
- 周辺の賃貸需要
- 観光客や宿泊需要の有無
- 周辺人口や住宅の状況
- 車でアクセスしやすいか
「家が空いているから貸せる」と考えるのではなく、その地域で実際に利用する人がいるかを確認することが重要です。
建物の状態を確認する
立地がよくても、建物の劣化が進んでいる場合は、そのまま活用できないことがあります。
長期間使われていない空き家では、水回りや給湯設備、壁、床などに修繕が必要になるケースがあります。
特に確認したいのは、
- 雨漏りの有無
- 水回りの状態
- 給湯設備の故障
- 壁や床の劣化
- カビや湿気
- 害虫の発生
- 外壁や屋根の状態
- 庭や外構の管理状況
などです。
賃貸や民泊として利用する場合は、人が安全に生活できる状態へ整える必要があります。
一方、修繕箇所が多く、活用するまでに大きな費用がかかる場合は、売却を選んだ方が負担を抑えられることもあります。
まずは「いくらで活用できそうか」ではなく、「活用できる状態にするまで、どの程度の費用が必要か」を確認しましょう。
初期費用と維持費を分けて考える
空き家を活用するときは、最初に必要な費用と、活用を始めたあと継続的に必要になる費用を分けて考えることが大切です。
初期費用には、修繕や清掃、設備交換などが考えられます。
その後も、管理や設備の修理などの負担が続く場合があります。
たとえば賃貸の場合、家賃収入が入っても、修繕や管理に費用がかかれば、そのすべてが利益になるわけではありません。
民泊や地域利用についても、清掃や運営、設備管理などを継続する必要があります。
活用方法を比較するときは、収入だけを見るのではなく、「最初にいくら必要か」「毎年どの程度の負担が続くか」を確認しましょう。
自分でどこまで管理できるかを考える
空き家を所有し続けて活用する場合は、建物の管理も続きます。
近くに住んでいれば定期的に確認できますが、相続した実家が遠方にある場合は、現地へ通うだけでも負担になることがあります。
賃貸であれば管理会社へ委託する、民泊であれば運営や清掃を外部へ任せるなど、管理方法も含めて検討する必要があります。
特に、
- 空き家から遠方に住んでいる
- 定期的に現地へ行けない
- 建物管理の経験がない
- 本業や家庭との両立が難しい
といった場合は、所有し続けること自体が負担にならないか確認しましょう。
活用による収益が期待できても、管理の手間が大きすぎれば、長期間続けるのが難しくなることがあります。
将来自分や家族が使う予定も考慮する
現時点では空き家でも、将来自分や家族が住む可能性がある場合は、すぐに売却しない方がよいこともあります。
たとえば、「数年後に実家へ戻る可能性がある」「子どもが使うかもしれない」といった場合です。
その場合は、一定期間賃貸として活用する方法なども検討できます。
一方、今後も家族が利用する予定がなく、遠方で管理する人もいないのであれば、所有し続ける必要性は低くなります。
将来の利用予定について家族で確認し、
「残したいのか」
「収益物件として持ちたいのか」
「管理から手を離したいのか」
を整理しておくと、活用方法を選びやすくなります。
複数の方法を比較してから決める
空き家の活用方法は、最初から一つに絞る必要はありません。
たとえば、賃貸を検討していても、必要な修繕費が高ければ売却に切り替えることがあります。
反対に、売却を考えていたものの、地域に賃貸需要があり、比較的少ない修繕で貸し出せることが分かれば、所有を続ける選択肢も考えられます。
次のように条件を比較すると判断しやすくなります。
| 確認する条件 | 検討しやすい選択肢 |
|---|---|
| 住宅需要があり建物状態も良い | 賃貸 |
| 今後使用予定がなく管理も難しい | 売却 |
| 宿泊需要がある | 民泊 |
| 地域で利用ニーズがある | 地域利用 |
| 修繕費が大きくなりそう | 売却も含めて比較 |
| 将来自分や家族が使う予定がある | 所有を続けながら活用を検討 |
一つの条件だけで決めず、立地、建物状態、費用、管理負担、将来の予定まで比較することが大切です。
ポイント
空き家の活用方法は、立地や建物の状態だけでなく、修繕に必要な費用、継続的な管理負担、将来家族が利用する可能性まで含めて判断します。賃貸や民泊にこだわらず、負担が大きい場合は売却も含めて複数の方法を比較しましょう。
活用のメリット・注意点

空き家を活用すれば、使われていなかった建物から収入を得たり、地域で役立つ場所として再利用したりできる可能性があります。
一方で、活用を始めるための修繕費や、その後の管理費が必要になることもあります。空き家は「活用すれば必ず得になる」とは限らないため、メリットと負担の両方を確認したうえで判断することが大切です。
所有したまま活用できる
賃貸や民泊などを選べば、空き家を手放さずに利用できます。
将来自分や家族が住む可能性がある場合や、思い入れのある実家をすぐに売却したくない場合には、所有を続けながら活用できることがメリットです。
また、利用者が入ることで、完全な空き家の状態よりも建物の異変に気づきやすくなる場合があります。
ただし、貸し出している間は自由に使えなくなるため、将来の利用予定がある場合は、契約期間なども考慮する必要があります。
収入を得られる可能性がある
賃貸や民泊では、家賃や宿泊料金による収入を得られる可能性があります。
空き家を所有しているだけでは、維持管理に費用がかかりますが、収益化できれば負担の一部を補えることがあります。
ただし、収入だけで判断するのは避けましょう。
修繕費や管理費、清掃費などを差し引くと、想定していたほど利益が残らないこともあります。
特に大規模なリフォームが必要な場合は、初期費用を回収できるまでに長期間かかる可能性があります。
建物の状態によっては修繕が必要になる
空き家を活用する際は、建物を利用できる状態へ整える必要があります。
長期間使っていなかった住宅では、見た目がきれいでも設備が劣化していることがあります。
たとえば、
- 給湯器が動かない
- 水漏れがある
- 壁紙や床が傷んでいる
- カビや湿気が発生している
- エアコンなどの設備が古い
- 外壁や屋根に傷みがある
といった状態です。
どこまで修繕する必要があるかは、賃貸、民泊、地域利用など用途によっても変わります。
活用を決める前に建物の状態を確認し、必要な費用を見積もっておきましょう。
用途によって手続きやルールが異なる
空き家だからといって、自由に好きな用途へ変更できるとは限りません。
特に民泊として利用する場合は、営業方法に応じて住宅宿泊事業法などに基づく届出や、関連するルールの確認が必要です。
また、自治体ごとに独自の制限や条例が設けられている場合もあります。
地域拠点や店舗などとして利用する場合も、住宅とは異なる用途になることで確認が必要なケースがあります。
そのため、活用方法を決めた段階で、自治体や専門家へ必要な手続きを確認しておくことが重要です。
相続人が複数いる場合は勝手に進めない
相続した空き家を兄弟など複数人で共有している場合は、一人だけの判断で活用方法を決めないよう注意しましょう。
賃貸や売却、大規模なリフォームなどを進める場合、所有関係によって必要な確認や手続きが変わります。
「空き家だから自分が使っても問題ない」と判断せず、まず登記上の名義や共有関係を確認することが大切です。
複数の相続人が関係している場合は、
- 売却したい人
- 賃貸で残したい人
- 将来住みたい人
など、意見が分かれることもあります。
活用に費用をかけてから意見の違いが判明するとトラブルになりやすいため、事前に方針を共有しておきましょう。
活用しない場合の選択肢も残しておく
空き家を所有すると、「せっかく家があるのだから何かに使わなければ」と考えることがあります。
しかし、活用に向かない物件まで無理に賃貸や民泊へ転用する必要はありません。
建物の老朽化が進んでいる、需要が少ない、遠方で管理が難しいといった場合は、売却や解体など別の方法を選んだ方が負担を抑えられることもあります。
活用方法を比較した結果、「所有し続けない」という結論になることも選択肢の一つです。
ポイント
空き家を活用すれば、建物を所有したまま収入を得たり、地域で再利用したりできる可能性があります。一方で、修繕費や管理費、手続きなどの負担も発生します。収益だけで判断せず、建物の状態や管理できる期間、所有関係まで確認し、難しい場合は売却なども含めて判断しましょう。
よくある質問
まとめ
空き家には、賃貸、売却、民泊、地域利用など複数の選択肢があります。
どの方法が適しているかは、立地や建物の状態、必要な修繕費、管理負担、将来の利用予定によって異なります。収益が見込めるという理由だけで決めず、活用を始めるまでの費用と、その後継続して発生する負担まで確認することが重要です。
また、修繕費が大きい、遠方で管理できない、今後家族が使う予定もないといった場合は、無理に活用せず売却する方法もあります。
まずは空き家の現状と家族の希望を整理し、複数の方法を比較したうえで、負担なく続けられる選択肢を選びましょう。
遺品整理でお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

