生前整理では、持ち物を片付けるだけでなく、自分の財産や医療・介護、葬儀などについて家族に伝えられるようにしておくことも大切です。その方法の一つがエンディングノートです。
預貯金や保険、医療・介護の希望、葬儀や供養、家族へのメッセージなどをまとめておくことで、本人が意思を伝えにくくなったときにも家族が確認しやすくなります。
この記事では、エンディングノートに書いておきたい項目や遺言書との違い、無理なく続けるための書き方を解説します。
Contentsこの記事でわかること
- 📝 エンディングノートの役割
- 💰 資産・保険について残しておきたい情報
- 🕊️ 葬儀・供養について書いておく内容
- 🏥 医療・介護に関する希望の残し方
- 📜 エンディングノートと遺言書の違い
- ✍️ 無理なく書き進めるためのコツ
エンディングノートとは

エンディングノートとは、将来、自分で意思を伝えることが難しくなったときや亡くなったあとに備えて、家族に伝えておきたい情報や希望をまとめておくノートです。
生前整理というと、家具や衣類などの持ち物を減らすことをイメージしやすいですが、財産や契約、医療・介護などの「情報」を整理することも重要です。エンディングノートを作成しておけば、自分自身の状況を整理できるだけでなく、家族が必要な情報を探す負担も軽減できます。
生前整理で情報をまとめるために活用できる
生前整理では、不要なものを処分するだけではなく、今後も残す財産や契約などを整理しておく必要があります。
たとえば、複数の銀行口座や保険を利用している場合、自分では把握していても、家族が同じ情報を知っているとは限りません。インターネット銀行や証券口座、オンライン上の契約などは、郵送物がほとんどなく、存在そのものに気づいてもらえない可能性もあります。
エンディングノートには、次のような情報をまとめられます。
| 分類 | 主な内容 |
|---|---|
| 財産 | 預貯金、証券、不動産など |
| 保険 | 生命保険、医療保険など |
| 契約 | 携帯電話、インターネット、継続サービスなど |
| 医療・介護 | かかりつけ医、希望する対応など |
| 葬儀・供養 | 葬儀やお墓についての希望 |
| 人間関係 | 家族・親族・友人などの連絡先 |
情報を一か所に整理しておくことで、自分自身も契約や財産を見直しやすくなります。
家族が必要な情報を探しやすくなる
本人に万が一のことが起きた場合、家族は短期間に多くのことを確認しなければなりません。
銀行口座や保険、公共料金などの契約先を調べるだけでも、書類や郵便物を一つずつ確認する必要があります。また、葬儀について本人の希望が分からなければ、家族だけで判断しなければならない場面もあります。
エンディングノートに情報をまとめておけば、家族が「何があるのか」「どこを確認すればよいのか」を把握しやすくなります。
すべての詳細を書く必要はありません。たとえば銀行口座であれば、暗証番号まで書かなくても、利用している金融機関や通帳の保管場所が分かるだけで手がかりになります。
自分の希望を家族へ伝えられる
エンディングノートには、財産などの事務的な情報だけでなく、自分の希望も残せます。
たとえば、
- 介護が必要になった場合に希望すること
- 医療について家族に伝えておきたい考え
- 葬儀の規模や形式
- お墓や供養についての希望
- 連絡してほしい友人・知人
- 家族へのメッセージ
などです。
家族と直接話しておくことが理想ですが、すべての内容を普段から話すのが難しい場合もあります。エンディングノートに記録しておけば、自分の考えを伝える一つの手段になります。
決まった形式はない
エンディングノートには、法律で定められた書式はありません。
市販されている専用ノートを使うほか、普通のノートやパソコンなどを利用することもできます。また、すべての項目を一度に完成させる必要もありません。
まずは財産や保険など確認しやすい情報を記録し、医療や葬儀については考えがまとまった時点で追加する方法でも問題ありません。
ただし、作成したことを家族が知らなければ、必要なときに確認できない可能性があります。内容をすべて共有する必要はありませんが、エンディングノートの存在や保管場所は信頼できる家族に伝えておくとよいでしょう。
書いておきたい項目一覧

エンディングノートに何を書くかについて厳密な決まりはありません。しかし、家族が将来必要とする可能性が高い情報から優先して整理すると、実用的な内容になります。
特に押さえておきたいのは、資産・保険、葬儀・供養、医療・介護、家族へのメッセージです。
| 項目 | 書いておきたい主な内容 |
|---|---|
| 資産・保険 | 預貯金、証券、不動産、加入保険など |
| 葬儀・供養 | 葬儀の形式、お墓、納骨など |
| 医療・介護 | かかりつけ医、治療・介護への希望 |
| 家族へのメッセージ | 感謝、形見、伝えておきたいこと |
資産・保険に関する情報
資産や保険の情報は、亡くなったあとの相続手続きなどで家族が確認する可能性が高い項目です。
主に記録しておきたいのは次のような内容です。
- 利用している銀行・支店
- 証券会社や保有している金融商品の有無
- 所有している不動産
- 生命保険・医療保険の加入先
- 年金に関する情報
- 借入金やローンの有無
- クレジットカード
- 継続して利用しているサービス
特に借入金などの負債も忘れずに確認します。財産だけを記録するのではなく、家族が資産と負債の両方を確認できる状態にしておくことが重要です。
ただし、暗証番号や各サービスのパスワードをそのまま記載すると、ノートを紛失した際のリスクがあります。エンディングノートには利用先や保管場所を記載し、重要な認証情報は別に管理する方法もあります。
葬儀・供養についての希望
葬儀や供養について希望がある場合は、家族が判断できる程度に整理しておきます。
たとえば、以下のような情報です。
| 項目 | 記載する内容の例 |
|---|---|
| 葬儀 | 家族葬を希望、規模は家族に任せるなど |
| 宗教・宗派 | 宗派、菩提寺など |
| 連絡先 | 葬儀の際に知らせてほしい人 |
| 遺影 | 使用してほしい写真の保管場所 |
| お墓 | 既存のお墓、納骨堂、散骨など |
希望が特にない場合も、「家族に任せる」と記載できます。
何も情報がない場合、家族は「本人は何を望んでいたのか」と迷う可能性があります。細かな内容まで決める必要はありませんが、強く希望することや避けてほしいことがある場合は残しておくと判断材料になります。
医療・介護についての希望
将来、病気などによって自分で意思を伝えることが難しくなった場合に備えて、医療や介護についての考えを記録することもできます。
主な項目には、
- かかりつけ医
- 持病
- 服用している薬
- 希望する介護環境
- 自宅・施設に関する希望
- 治療についての考え
- 家族に相談してほしいこと
などがあります。
ただし、エンディングノートに書いた希望が、そのまま医療上の判断として必ず実現されるわけではありません。本人の状態や医療機関での判断などによって対応は変わります。
大切な希望がある場合は、ノートに記載するだけではなく、元気なうちに家族とも話し合っておくことが大切です。
家族へのメッセージ
エンディングノートには、手続きに必要な情報だけでなく、家族や大切な人への言葉も残せます。
たとえば、
- 家族への感謝
- 思い出
- 大切にしてほしいもの
- 形見として渡したいもの
- 友人への伝言
などです。
特に形見として残したいものがある場合は、「誰に渡したいか」「どこに保管しているか」まで記載すると分かりやすくなります。
すべての項目を同じ詳しさで書く必要はありません。まずは、本人以外には分からず、家族が確認できないと困る情報を優先すると、実用性の高いエンディングノートになります。
遺言書との違い(法的効力の有無)

エンディングノートと遺言書は、どちらも自分の考えを家族に残すために使えますが、役割は異なります。
最も重要な違いは、エンディングノートには原則として法的効力がなく、法律上の要件を満たした遺言書には法的効力があることです。
そのため、家族へ情報や希望を伝える内容と、相続について法的に指定したい内容は使い分ける必要があります。
| 比較項目 | エンディングノート | 遺言書 |
|---|---|---|
| 法的効力 | 原則なし | 要件を満たせばあり |
| 書き方 | 自由 | 法律で定められた方式がある |
| 主な目的 | 情報や希望を家族へ伝える | 相続などの意思を法的に残す |
| 主な内容 | 医療、介護、葬儀、財産情報など | 財産の承継など |
| 書き直し | 自由 | 適切な方式で行う必要がある |
エンディングノートは情報や希望を伝えるもの
エンディングノートは、幅広い内容を自由に記載できます。
たとえば、「できれば家族葬にしてほしい」「介護が必要になった場合は自宅で生活したい」「この友人には連絡してほしい」といった希望を残すことができます。
また、銀行や保険会社、不動産などの情報をまとめておけば、家族が財産を確認する際の手がかりになります。
ただし、エンディングノートに「自宅は長男に渡す」「預金は長女に相続させる」と書いても、その記載だけで法律上の遺言と同じ効力を持つわけではありません。
あくまで家族に自分の考えや情報を伝えるためのものとして利用します。
遺言書は相続について法的な意思を残すもの
遺言書は、財産の承継などについて自分の意思を法的に残すために利用します。
代表的な方式には、自分で作成する「自筆証書遺言」や、公証人が関与して作成する「公正証書遺言」などがあります。
遺言書は、単に紙へ希望を書けばよいわけではありません。法律上定められた方式を満たしていなければ、遺言として有効と認められない可能性があります。
そのため、
- 特定の財産を特定の人へ承継させたい
- 財産の分け方について明確な希望がある
- 相続について法的な効力を持たせたい
といった場合は、エンディングノートとは別に遺言書の作成を検討します。
エンディングノートと遺言書は併用できる
エンディングノートと遺言書は、どちらか一方だけを作成する必要はありません。それぞれの役割に合わせて併用できます。
たとえば、次のように分けると分かりやすくなります。
エンディングノート
- 医療や介護についての希望
- 葬儀・供養についての希望
- 資産や契約先の一覧
- 連絡してほしい人
- 家族へのメッセージ
遺言書
- 誰に財産を承継させるか
- 財産をどのように分けるか
- 法的な効力を持たせたい相続に関する事項
エンディングノートに「財産の分け方については遺言書を確認してほしい」と記載しておく方法もあります。
生前整理では、日常生活や家族への希望を伝えるエンディングノートと、相続について法的な意思を残す遺言書を目的に応じて使い分けることが重要です。
よくある質問
まとめ
エンディングノートは、資産や保険、医療・介護、葬儀・供養など、自分の情報や希望を家族に伝えるために活用できます。
すべてを一度に書く必要はなく、家族が確認できないと困る情報から整理しておけば十分です。ただし、エンディングノートには原則として法的効力がないため、財産の分け方など法的な意思を残したい場合は遺言書との使い分けが必要です。
生前整理の一環として、今の状況や希望を少しずつ書き残しておきましょう。
遺品整理でお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

