遺品整理には、家財の処分や搬出、清掃などでまとまった費用がかかることがあります。そのため、「自治体の補助金を使えないのか」と考える人もいるでしょう。
ただし、遺品整理そのものを全国一律で補助する制度があるわけではありません。一方で、空き家の利活用や家財処分を目的とした自治体独自の制度によって、結果的に遺品整理の一部費用が補助対象になる場合があります。
この記事では、遺品整理で補助対象になりやすい費用、利用できる制度の探し方、主な条件、申請前に確認しておきたいポイントをわかりやすく解説します。
Contentsこの記事でわかること
- 💰 遺品整理そのものに使える補助金があるのか
- 📦 家財処分や片付けで補助対象になりやすい費用
- 🔍 自分の地域で利用できる制度を探す方法
- 🏠 空き家バンクなど補助対象になる主な条件
- 📝 補助金を申請するときの基本的な流れ
- ⚠️ 業者へ依頼する前に確認しておきたい注意点
遺品整理そのものに使える補助金は少ない

遺品整理を業者へ依頼する際に、まず知っておきたいのは、「遺品整理代」として誰でも利用できる全国共通の補助金があるわけではないという点です。
一方で、自治体によっては空き家の利活用や移住促進、住宅の流通などを目的として、空き家に残された家財の撤去・処分費用を補助しています。こうした制度の条件に当てはまれば、遺品整理に伴う費用の一部が実質的に補助される可能性があります。実際に、空き家バンク登録物件の家財処分を対象にしている自治体もあります。
「遺品整理」という名前の制度だけを探さない
補助金を探すときに、「遺品整理 補助金」だけで検索すると、利用できる制度を見つけられないことがあります。
自治体では、
- 空き家家財処分
- 空き家片付け
- 空き家利活用
- 空き家バンク
- 移住・定住支援
などの名称で制度が設けられていることがあるためです。
故人が住んでいた住宅が空き家になり、売却や賃貸などを予定している場合は、特にこうした制度を確認する価値があります。
自治体によって制度の有無や内容が違う
補助金の内容は全国共通ではありません。
ある自治体では家財の搬出や処分費が対象でも、別の自治体では制度自体がないことがあります。また、補助率や上限額、対象となる住宅、申請できる人なども異なります。
たとえば、空き家バンクへの登録を条件とする自治体や、所有者・購入者など申請できる人を限定している自治体があります。
そのため、インターネット上で見つけた他地域の制度を見て「自分も利用できる」と判断するのは避けましょう。
「費用が出た後に申請」できるとは限らない
補助金で特に注意したいのが申請時期です。
制度によっては、業者との契約や片付けを始める前に申請し、交付決定を受けることが条件になっています。
実際に、交付決定前に家財を処分すると補助対象外になる自治体があります。
「とりあえず遺品整理を終わらせて、後から補助金を申請しよう」と考えると利用できなくなる可能性があるため、業者へ正式に依頼する前に制度を調べましょう。
ポイント
遺品整理そのものを全国一律で補助する制度があるわけではありません。空き家の家財処分や利活用を対象とした自治体独自の制度を利用できる場合があるため、「遺品整理」だけでなく「空き家」「家財処分」などの制度も確認しましょう。
遺品整理で補助対象になる可能性がある費用

自治体の制度を利用できる場合でも、遺品整理業者へ支払った料金のすべてが補助されるとは限りません。
比較的対象になりやすいのは、空き家に残された家具や家電などの撤去・搬出・処分に直接必要な費用です。実際に自治体の制度では、家財道具等の処分や搬出を対象経費としている例があります。
一方、遺品供養や貴重品探索など、一般的な遺品整理業者が提供しているサービスまで補助されるとは限りません。
家具や生活用品などの処分費
故人の住宅に、
- タンス
- テーブル
- ベッド
- 衣類
- 食器
- 日用品
- その他の家財
などが残っている場合、それらを片付ける費用が制度の対象になることがあります。
特に、空き家を売却・賃貸するために家財を撤去する制度では、こうした不用品の処分が中心です。
ただし、対象となる品目や処分方法が決められている場合もあります。申請前に「何を処分する費用なら対象になるか」を確認しましょう。
家財の搬出・運搬費
大型家具などを住宅から運び出し、処分場所まで運搬する費用が補助対象になる制度もあります。
ただし、自治体によっては収集運搬を行う事業者について条件が定められているケースがあります。たつの市では、家財の処分・搬出費を対象としつつ、収集・運搬部分について一般廃棄物収集運搬業の許可業者が行うことを条件としています。
業者ならどこへ依頼しても補助対象になるとは限らないため注意が必要です。
清掃費が対象になるかは制度ごとに確認する
家財を搬出した後の簡易清掃などが対象になる制度も考えられますが、これは自治体ごとの差が大きい部分です。
たとえば、
「家財処分は対象だがハウスクリーニングは対象外」
「撤去と清掃をまとめて補助対象としている」
など制度によって扱いが異なる可能性があります。
遺品整理業者の見積書に「遺品整理一式」とだけ記載されていると、どの費用が補助対象なのか判断できないこともあります。可能であれば、家財処分・搬出・清掃などの内訳が分かる見積書を用意してもらいましょう。
遺品整理のすべてが補助されるわけではない
遺品整理業者には、
- 遺品の仕分け
- 貴重品探索
- 合同供養
- 買取
- 特殊清掃
- 消臭
- ハウスクリーニング
などさまざまなサービスがあります。
これらすべてが自治体の家財処分補助金の対象になるとは限りません。
そのため、「業者の見積額が30万円だから30万円すべてが補助対象」と考えず、補助対象経費と対象外経費を分けて確認する必要があります。
ポイント
補助対象になりやすいのは、空き家に残された家具・生活用品などの撤去、搬出、処分にかかる費用です。ただし、清掃や供養などまで対象になるとは限らないため、制度の対象経費と業者の見積内訳を照らし合わせて確認しましょう。
利用できる補助金・支援制度の探し方

遺品整理に使える可能性のある制度を探すときは、全国の制度だけを見るのではなく、対象となる住宅がある市区町村の制度を確認することが重要です。
空き家関連の補助制度は自治体独自で実施されているケースが多く、名称も統一されていません。
自治体のホームページで検索する
まずは、故人の住宅がある自治体の公式ホームページで検索してみましょう。
検索するときは、
- 「○○市 空き家 家財処分 補助金」
- 「○○市 空き家 片付け 補助」
- 「○○市 空き家バンク 家財」
- 「○○市 不用品 撤去 空き家」
など、複数の言葉で探すのがおすすめです。
「遺品整理」という名称が使われていなくても、家財道具の処分を対象とした制度が見つかることがあります。
空き家担当の窓口へ問い合わせる
ホームページを見ても分からない場合は、市区町村の空き家対策を担当する部署へ問い合わせましょう。
自治体によって、
- 住宅政策課
- 空き家対策課
- まちづくり担当
- 移住・定住担当
など窓口の名称は異なります。
「相続した空き家に家財が残っており、処分に使える補助制度があるか」と伝えると確認しやすくなります。
ごみの処分方法については、環境や廃棄物を担当する部署へ案内されることもあります。
空き家バンクの制度も確認する
自治体の家財処分補助金では、空き家バンクへの登録を条件としているケースがあります。
実際に日南市、小豆島町、浅口市などでは、空き家バンクへの登録などを条件とする家財処分支援制度が設けられています。
故人の住宅を今後使う予定がなく、
- 売却したい
- 賃貸したい
- 空き家として活用してもらいたい
と考えている場合は、空き家バンクと家財処分補助をあわせて確認するとよいでしょう。
制度が見つかったら最新年度を確認する
過去には補助制度があっても、現在は受付を終了している可能性があります。
また、年度ごとの予算で実施される制度では、申請期間内でも予算額に達すると受付を終了する場合があります。福井市や渋川市の制度でも、予算枠に達した場合の終了について案内されています。
検索結果だけで判断せず、
- 現在の年度も実施しているか
- 募集期間内か
- 予算が残っているか
まで確認しましょう。
ポイント
補助金を探すときは、故人の住宅がある自治体の公式サイトで「空き家」「家財処分」「片付け」などの言葉を使って検索しましょう。見つからない場合は、空き家対策や住宅政策を担当する窓口へ直接問い合わせるのが確実です。
補助金を利用できる主な条件

空き家の家財処分などを対象とする補助金が見つかっても、誰でも利用できるとは限りません。
多くの制度では、対象となる住宅・申請者・家財処分の目的などについて条件が設けられています。
具体的な条件は自治体によって異なるため、似た制度でも申請できる人が違うことがあります。
対象住宅に条件がある
補助対象になる住宅としてよく見られるのが、空き家であることや、空き家バンクへ登録していることなどの条件です。
制度によっては、
- 一定期間利用されていない住宅
- 空き家バンク登録物件
- 売却や賃貸を予定している空き家
- 一戸建て住宅
などに限定されています。
浅口市の制度では、空き家情報バンクに登録する戸建て住宅などが対象条件になっています。
そのため、現在も家族が住んでいる住宅の遺品整理では利用できないケースがあります。
申請できる人にも条件がある
制度によっては、申請者が住宅の所有者や法定相続人であることなどが求められます。
一方、空き家を購入・賃借する人まで対象としている自治体もあります。
「故人の子どもだから申請できる」とは限らず、相続登記や所有関係などの確認が必要になるケースもあります。
特に相続人が複数いる住宅では、誰が申請者になるのか、ほかの共有者の同意が必要かも確認しましょう。
空き家バンクへの登録が条件になることがある
家財処分を補助する目的が「空き家を市場へ流通させること」である場合、空き家バンクへの登録が条件になっていることがあります。
たとえば、単に家財を捨てるためではなく、
家財を撤去する
↓
空き家を利用できる状態にする
↓
売却・賃貸につなげる
という目的で制度が設けられています。
そのため、今後も空き家をそのまま保有し続ける予定の場合は対象外になる可能性があります。
税金の滞納などが条件になる場合もある
住宅だけでなく、申請者自身について条件が設けられている制度もあります。
たとえば、
- 市税などを滞納していない
- 同じ費用について他の補助金を受けていない
- 暴力団員などに該当しない
といった条件です。福井市や小豆島町などの制度にも、税の滞納や重複補助などに関する要件があります。
自分が対象になるか分からない場合は、契約前に自治体へ確認することが大切です。
ポイント
補助金には、空き家バンクへの登録、住宅の所有関係、税金の滞納がないことなど、さまざまな条件が設定される場合があります。「制度がある=利用できる」と判断せず、対象住宅・対象者・対象経費をそれぞれ確認しましょう。
申請前に確認することと手続きの流れ

補助制度を利用するときに最も注意したいのが、遺品整理業者へ依頼するタイミングです。
補助制度によっては、業者と契約したり、家財の処分を始めたりする前に申請しなければなりません。先に作業を終えると、条件を満たしていても補助を受けられない可能性があります。
まず自治体へ制度を確認する
遺品整理を始める前に、
- 利用できる制度があるか調べる
- 自分や住宅が対象になるか確認する
- 対象となる費用を確認する
- 申請期限を確認する
という順番で進めます。
業者へ見積もりを依頼すること自体は必要になる場合がありますが、正式な契約や作業開始については、制度のルールを確認してから判断しましょう。
見積書や片付け前の写真を準備する
補助金の申請では、作業内容や金額を確認するための書類を求められることがあります。
たとえば、
- 申請書
- 業者の見積書
- 家財が残っている状態の写真
- 建物の所有関係が分かる書類
- 本人確認書類
- 納税証明書
などです。
福井市の制度でも、見積額を確認できる資料や着手前の写真、住宅の登記事項証明書などが必要書類として挙げられています。
必要書類は自治体によって異なるため、必ず申請先の案内を確認しましょう。
交付決定を確認してから作業する
制度によっては、申請書を提出しただけでは作業を始められません。
一般的には、
申請
↓
自治体による審査
↓
交付決定
↓
家財の処分・片付け
↓
実績報告
↓
補助金の交付
といった流れになることがあります。
福井市では、交付申請、交付決定、事業着手、実績報告、補助金請求という流れが示されています。
ただし、自治体によって手順は異なるため、この流れを全国共通のものとは考えないようにしましょう。
補助金は後から支払われる場合がある
補助制度では、遺品整理の費用を最初から自治体が業者へ支払うのではなく、申請者がいったん費用を支払い、作業完了後に補助金が交付されるケースがあります。
そのため、補助金を利用できても、作業時には一定の資金を用意する必要がある場合があります。
また、補助額には上限が設定されることが一般的で、実際に支払った費用の全額が戻るとは限りません。
業者を決める前に、
- 補助率
- 上限額
- 自己負担額
- 補助金が入金される時期
まで確認しておきましょう。
ポイント
補助金は「遺品整理が終わってから探す」のではなく、業者へ正式に依頼する前に確認することが重要です。交付決定前に作業すると対象外になる制度もあるため、申請時期・必要書類・対象経費を確認してから片付けを始めましょう。
よくある質問
まとめ
遺品整理そのものを全国一律で補助する制度はありませんが、自治体によっては空き家の家財処分や片付け費用を支援する制度があります。
利用できるかどうかは、住宅の所在地や空き家バンクへの登録、申請者、対象経費などによって変わります。業者へ依頼した後では申請できない制度もあるため、遺品整理を始める前に自治体の公式情報を確認し、利用できる制度がないか調べておきましょう。
遺品整理でお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

