空き家を売却するとき、「古い建物は解体したほうが売れやすいのか」「そのまま売ったほうが費用を抑えられるのか」と迷うことがあります。
解体すれば土地として売り出しやすくなる場合がありますが、解体費用がかかるほか、更地にすることで固定資産税の負担が変わる可能性もあります。一方、建物にまだ価値がある場合は、そのまま売却したほうが有利なケースもあります。
空き家を解体して売る場合とそのまま売る場合の違いやメリット・デメリット、築年数や立地・需要を踏まえた判断基準まで解説します。
Contentsこの記事でわかること
- 🏠 空き家を解体して売る場合とそのまま売る場合の違い
- 🔨 解体して売却するメリット・デメリット
- 💰 解体せずそのまま売るメリット・デメリット
- 📅 築年数や老朽化から判断するポイント
- 📍 立地・土地需要を確認する重要性
- ⚠️ 特定空き家等に指定されている場合の注意点
解体して売る場合とそのまま売る場合の違い

空き家を売却するときは、建物を解体して更地にしてから売る方法と、建物を残したまま売る方法があります。
どちらが有利かは、建物の状態や築年数、土地の需要、解体費用などによって異なります。古い空き家だからといって、必ず解体したほうがよいとは限りません。
まずは、それぞれの違いを整理しておきましょう。
| 比較項目 | 解体して売る | そのまま売る |
|---|---|---|
| 初期費用 | 解体費用がかかる | 解体費用を抑えられる |
| 売り方 | 更地として売却 | 中古住宅・古家付き土地として売却 |
| 買主 | 新築希望者なども対象になりやすい | 建物を利用したい人が中心 |
| 建物の管理 | 解体後は不要 | 売却まで管理が必要 |
| 税負担 | 更地化で変わる可能性がある | 住宅用地の特例が続く場合がある |
| 売却後の解体 | 不要 | 買主が解体する場合がある |
解体すると土地の状態を確認しやすくなる
建物を解体すると、土地の形状や広さを確認しやすくなり、新築住宅を建てたい買主にも検討してもらいやすくなる場合があります。
特に、
- 建物の老朽化が進んでいる
- 大規模な修繕が必要
- 中古住宅としての需要が少ない
- 土地としての需要が高い
といった空き家では、更地にすることで売却しやすくなる可能性があります。
また、古い建物を買主側で解体する必要がなくなるため、「すぐに新築工事を始めたい」という人にとってはメリットになります。
そのまま売れば解体費用を先に負担しなくてよい
空き家をそのまま売却する場合は、売主が解体費用を先に支払う必要がありません。
建物にまだ利用価値がある場合は、中古住宅として売却できる可能性があります。また、建物の価値が低い場合でも「古家付き土地」として販売し、購入後に買主が解体する方法があります。
そのため、
- 建物がまだ使用できる
- リフォームして住みたい需要がある
- 解体費用を先に負担したくない
- 更地にする前に買主を探したい
といった場合は、そのまま売る方法を検討しやすいでしょう。
売却価格だけで判断しない
解体すれば売却価格が上がる可能性がありますが、その差額が解体費用を上回るとは限りません。
たとえば、更地にすることで200万円高く売れるとしても、解体や残置物処分などに200万円以上かかれば、売主の手取りが増えないこともあります。
反対に、そのまま売る場合は解体費用を負担しなくて済みますが、買主が将来負担する解体費を考慮して、価格交渉される可能性があります。
そのため、
- そのまま売った場合の査定額
- 解体後の土地としての査定額
- 解体費用
- 残置物処分費
- 売却までの維持費
を比較して判断することが重要です。
解体前に売却査定を受ける
「古いから先に壊したほうがよい」と自己判断で解体するのは避けたほうが安心です。
一度解体すると建物を元に戻すことはできません。古家を探している買主や、リフォーム前提で購入したい人への売却機会を失う可能性もあります。
まずは不動産会社へ、
- 建物付きのまま売れるか
- 更地にした場合の査定額
- 地域ではどちらの需要が高いか
- 解体費をかける効果があるか
を確認しましょう。
可能であれば解体業者からも見積もりを取り、売却価格の差と解体に必要な費用を比較してから決めることが大切です。
ポイント
空き家は、解体すれば必ず高く売れるわけではありません。建物付きの査定額、更地にした場合の査定額、解体費用を比較し、どちらが手元に残る金額や売りやすさの面で有利かを確認してから判断しましょう。
解体するか、そのまま売るかの判断基準

空き家を解体するか、そのまま売るかは、築年数だけでなく、建物の状態や立地、土地需要、解体費用まで含めて判断する必要があります。
古い建物でも中古住宅として需要がある地域なら、そのまま売るほうが有利な場合があります。一方、老朽化が激しく土地としての需要が高い場合は、解体して更地にする選択肢が有力です。
建物の老朽化の程度(築年数の目安)
築年数は判断材料のひとつですが、築年数だけで解体を決めるのは適切ではありません。
確認したいのは、実際にどの程度劣化しているかです。
たとえば、
- 雨漏りがある
- 外壁や屋根の劣化が激しい
- 床や柱に大きな傷みがある
- シロアリ被害がある
- 水回り設備が使用できない
- 大規模な修繕が必要
といった状態であれば、中古住宅として売るより解体したほうがよい場合があります。
一方、築年数が古くても、定期的に修繕されていて問題なく使用できる住宅であれば、そのまま売却できる可能性があります。
築年数はあくまで目安として、建物の状態を確認して判断しましょう。
立地・需要
解体するかどうかを考えるうえで、土地や中古住宅の需要も重要です。
たとえば、
- 駅や商業施設に近い
- 住宅需要が高い
- 新築住宅が多い地域
- 土地として探している人が多い
といった地域では、更地にすることで買主が見つかりやすくなる場合があります。
反対に、古民家や中古住宅を購入してリフォームしたい需要がある地域では、建物を残したまま売るほうが有利なこともあります。
不動産会社へ相談するときは、
- 古家付きの成約事例
- 更地の成約事例
- 周辺の土地需要
- 中古住宅の需要
を確認すると判断しやすくなります。
解体費用と売却価格の差を比較する
解体後の売却価格だけを見るのではなく、実際の手取り額で比較することが重要です。
たとえば、
- 建物付きで売った場合の査定額
- 更地にした場合の査定額
- 建物の解体費
- 残置物の処分費
- 解体後の税負担
- 売却までの管理費
などを整理します。
更地にすることで査定額が上がっても、解体費用のほうが大きければ、結果として手元に残る金額が減る可能性があります。
そのため、解体業者の見積もりと不動産会社の査定を両方取って比較しましょう。
売却までの期間も考える
空き家を長期間所有すると、固定資産税や草刈り、修繕、防犯などの管理負担が続きます。
そのため、「最も高く売れる方法」だけでなく、「どの程度の期間で売却できそうか」も判断材料になります。
たとえば、そのまま売ると時間がかかるものの、解体すれば早く売れる見込みがある場合は、解体費用を負担してでも早期売却を優先する考え方があります。
反対に、急いで手放す必要がなく、建物付きでも一定の需要があるなら、解体せず買主を探す方法もあります。
不動産会社と解体業者の両方へ相談する
解体するか迷った場合は、不動産会社だけで判断せず、解体業者からも見積もりを取ると比較しやすくなります。
確認したいのは、次の内容です。
| 確認先 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 不動産会社 | 建物付きの査定額 |
| 不動産会社 | 更地にした場合の査定額 |
| 不動産会社 | 周辺の土地・中古住宅需要 |
| 解体業者 | 建物の解体費 |
| 解体業者 | 残置物・付帯物の撤去費 |
| 自治体 | 解体補助制度の有無 |
複数の情報を集めたうえで、売却価格・費用・売却期間を比較して決めましょう。
ポイント
空き家を解体するかは、築年数だけでなく、建物の劣化状況、立地・需要、解体費用、売却価格の差を比較して判断します。解体前に建物付きと更地の両方で査定を受け、実際の手取り額まで確認することが大切です。
特定空き家等に指定されている場合

空き家の管理状態が悪く、周囲への危険や衛生上の問題が生じている場合は、市区町村から「特定空家等」や「管理不全空家等」として対応を求められることがあります。
この場合は、売却方法だけでなく、建物の修繕や解体を早めに検討する必要があります。放置を続けると、固定資産税の住宅用地特例が受けられなくなる可能性もあるため注意が必要です。
特定空家等とは
特定空家等とは、放置することで周囲へ著しい悪影響を与えるおそれがある空き家です。
たとえば、
- 倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある
- 衛生上著しく有害となるおそれがある
- 適切な管理が行われず景観を著しく損なっている
- 周辺の生活環境を守るため放置が不適切な状態である
といった空き家が対象になる可能性があります。
老朽化した空き家でも、すべてが自動的に特定空家等になるわけではありません。建物や敷地の状態を踏まえて、市区町村が判断します。
管理不全空家等にも注意する
2023年12月に施行された改正空家法では、特定空家等になる前の段階として「管理不全空家等」への措置も設けられています。
管理不全空家等は、適切な管理がされておらず、そのまま放置すると特定空家等になるおそれがある空き家です。
たとえば、
- 屋根や外壁の一部が傷んでいる
- 雑草や樹木が管理されていない
- 建物の劣化が進んでいる
- 周囲へ影響する状態になりつつある
などの場合は、早めの管理改善が必要になります。
「まだ倒壊するほどではないから大丈夫」と考えず、市区町村から指導を受けた場合は、修繕・管理・売却・解体などの対応を検討しましょう。
勧告を受けると住宅用地特例の対象外になる場合がある
住宅が建っている土地には、一定の条件のもとで固定資産税の課税標準を軽減する住宅用地特例があります。
小規模住宅用地では、固定資産税の課税標準が6分の1となる仕組みです。
しかし、管理不全空家等や特定空家等について、市区町村から指導を受けても改善せず勧告を受けると、住宅用地特例の対象から外れることがあります。
そのため、「建物を残しておけば固定資産税が安いから」という理由だけで、老朽化した空き家を放置するのは適切ではありません。
特定空家等では解体が必要になることもある
特定空家等に該当したからといって、必ず直ちに解体しなければならないわけではありません。
建物の修繕や樹木の管理などによって問題を改善できる場合もあります。
一方で、倒壊のおそれがあるなど建物の状態が著しく悪く、修繕して利用することが現実的でない場合は、解体を検討する必要があります。
市区町村は特定空家等に対して、状況に応じて指導・勧告・命令などの措置を行うことができ、必要な措置が行われない場合には行政代執行等へ進む仕組みもあります。
指定される前に売却・修繕・解体を検討する
空き家は、状態が悪化してから対応すると、修繕費や解体費が高くなる可能性があります。
建物の劣化が進んでいる場合は、
| 選択肢 | 検討するケース |
|---|---|
| 修繕 | 今後も利用・賃貸できる見込みがある |
| 建物付きで売却 | 古家や中古住宅として需要がある |
| 解体して売却 | 建物の劣化が激しく土地需要がある |
| 不動産買取 | 早めに手放したい |
| 解体 | 安全面の問題が大きい |
などを比較しましょう。
市区町村から連絡や指導を受けている場合は、その内容を確認したうえで、不動産会社や解体業者へ相談することが重要です。
ポイント
管理状態の悪い空き家は、特定空家等や管理不全空家等として市区町村から対応を求められる場合があります。勧告を受けると住宅用地特例が適用されなくなる可能性もあるため、放置せず、修繕・売却・解体のどれが適しているか早めに検討しましょう。
参考:国土交通省
よくある質問
まとめ
空き家を解体するか、そのまま売るかは、築年数だけで決めるのではなく、建物の状態や立地、土地需要、解体費用などを総合的に判断することが重要です。
老朽化が進み土地需要が高い場合は、解体して更地にすることで売却しやすくなることがあります。一方、建物に利用価値が残っている場合は、そのまま売るほうが解体費用を抑えられる可能性があります。
まずは建物付きと更地の両方で査定を受け、解体費用や税負担、売却までの期間を比較したうえで、手元に残る金額と管理負担のバランスがよい方法を選びましょう。
遺品整理でお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

