空き家は、誰も住んでいなくても定期的な管理が必要です。長期間放置すると、建物の劣化や害虫・害獣の発生、不法侵入などの防犯リスクが高まり、近隣住民とのトラブルにつながることもあります。
さらに、管理状態によっては「特定空家等」に指定され、固定資産税の負担に影響する可能性もあります。
この記事では、空き家を放置することで起こり得るリスクや、特定空家等に指定された場合の影響、放置を防ぐためにできる対策を解説します。
Contentsこの記事でわかること
- 🏚️ 空き家を放置すると起こり得る問題
- 🔨 建物の劣化や倒壊につながるリスク
- 🔐 不法侵入・放火などの防犯上の問題
- 🐛 害虫・害獣・カビが発生する原因
- 💰 特定空家等と固定資産税への影響
- 🧹 空き家を放置しないための管理方法
空き家を放置するリスク

空き家は、人が住まなくなると建物や設備の異常に気づきにくくなります。換気や清掃、庭の手入れなども行われなくなるため、放置期間が長いほど劣化や衛生面、防犯面の問題が起こりやすくなります。
また、空き家の状態が周囲へ影響すると、所有者だけの問題ではなく、近隣住民とのトラブルにつながることもあります。
主なリスクは次のとおりです。
| リスク | 起こり得る問題 |
|---|---|
| 建物の劣化 | 雨漏り・腐食・倒壊など |
| 防犯 | 不法侵入・盗難・放火など |
| 衛生 | 害虫・害獣・カビの発生 |
| 近隣関係 | 庭木・悪臭・建物破損によるトラブル |
建物の劣化・倒壊リスク
誰も住んでいない住宅では、雨漏りや設備の故障が起きても発見が遅れやすくなります。
たとえば、屋根や外壁の小さな破損を放置すると、雨水が建物内部へ入り込み、柱や床などの劣化につながる可能性があります。また、換気されない状態が続けば湿気がこもり、カビや木材の傷みが進むこともあります。
特に確認したいのは、
- 屋根や外壁の破損
- 雨漏り
- 窓や扉の劣化
- 床や柱の傷み
- 雨どいや排水設備の詰まり
などです。
劣化が進めば、将来売却するときに修繕費が必要になったり、建物をそのまま利用できなくなったりする場合があります。
状態が悪化すると、屋根材や外壁の一部が落下するなど、周囲へ影響する可能性もあるため、定期的な確認が必要です。
不法侵入・放火などの防犯リスク
長期間人の出入りがない空き家は、外から見ても「誰も住んでいない」と分かりやすくなることがあります。
郵便物がたまっている、庭木が伸びている、夜間も照明がつかないといった状態が続くと、不法侵入や盗難などのリスクが高まる可能性があります。
また、室内や敷地に紙類やごみなどが大量に残っている場合は、放火などへの注意も必要です。
防犯面では、
- 郵便物を定期的に回収する
- 玄関や窓の施錠を確認する
- 庭木を手入れする
- 外から空き家だと分かりにくい状態を保つ
- 定期的に人が出入りする
といった管理が有効です。
遠方に住んでいて頻繁に確認できない場合は、家族で担当を決めたり、空き家管理サービスを利用したりする方法もあります。
害虫・害獣・カビの発生
空き家では、清掃や換気が行われないことで衛生環境が悪化する場合があります。
食品や生ごみが残っていれば、ハエやゴキブリなどが発生する原因になります。また、建物の隙間からネズミなどが入り込み、室内に住み着くケースも考えられます。
さらに、閉め切った状態では湿気がこもりやすく、押し入れや壁、床などにカビが発生することもあります。
特に、
- 食品やごみを残さない
- 定期的に換気する
- 水回りの状態を確認する
- 害虫・害獣の侵入跡がないか見る
- 雨漏りや湿気を確認する
といった管理が必要です。
害虫や害獣を長期間放置すると、建材が汚れたり臭いが残ったりして、後から清掃や修繕の範囲が広がる可能性もあります。
近隣トラブル・景観悪化
空き家の問題が敷地内だけに収まらなくなると、近隣住民とのトラブルにつながることがあります。
たとえば、庭木が伸びて隣の敷地や道路にはみ出したり、雑草が大量に生えたりすると、周囲の生活環境へ影響します。
ほかにも、
- 害虫や害獣が近隣へ移動する
- ごみや落ち葉が周囲へ飛ぶ
- 建物の一部が隣地へ落下する
- 悪臭が周囲へ広がる
- 敷地の荒廃によって景観が悪化する
といった問題が考えられます。
特に台風や強風のあとなどは、屋根や外壁、庭木に異常がないか確認することが重要です。
空き家をすぐに売却・解体しない場合でも、周囲へ影響が出ない状態を維持することは所有者にとって重要な管理の一つです。
ポイント
空き家は、放置期間が長いほど建物の劣化・防犯・衛生・近隣トラブルのリスクが重なりやすくなります。すぐに活用や売却をしない場合でも、定期的な点検・換気・庭の手入れなど最低限の管理を続けましょう。
特定空き家に指定されるリスク(固定資産税増額)

空き家を適切に管理せず、周囲への危険や衛生上の問題などが深刻になると、「特定空家等」として行政から改善を求められる可能性があります。
さらに現在は、特定空家等になる前の段階でも、管理状態が悪く、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれがある住宅は「管理不全空家等」として対応の対象になります。
特に注意したいのが、行政から勧告を受けると、土地に適用されていた固定資産税等の住宅用地特例から外れる可能性があることです。
特定空家等とは
特定空家等とは、適切に管理されていない空き家のうち、放置することで周囲へ大きな影響を与えるおそれがある状態の空き家です。
国土交通省の資料では、主に次のような状態が対象として示されています。
| 状態 | 具体的な例 |
|---|---|
| 保安上危険 | 倒壊や建材の落下のおそれがある |
| 衛生上有害 | ごみや害虫などで衛生環境が悪化している |
| 景観を損なう | 著しく管理されず外観が荒れている |
| 周辺環境へ影響 | 庭木や建物などが近隣へ影響している |
空き家になっただけで自動的に特定空家等になるわけではありません。問題になるのは、管理が行われず、危険性や周囲への影響が大きくなっている場合です。
たとえば、屋根や外壁が崩れそうになっている、庭木が道路まで伸びている、ごみなどによって悪臭や害虫が発生しているといった状態では注意が必要です。
管理不全空家等も対象になる
空き家対策では、特定空家等になる前に問題の深刻化を防ぐため、「管理不全空家等」という区分も設けられています。
管理不全空家等は、現在すぐに周囲へ重大な危険を及ぼしているわけではなくても、管理されない状態が続けば特定空家等になるおそれがある空き家です。
つまり、「まだ倒壊するほどではないから大丈夫」と判断して放置するのは適切ではありません。
たとえば、
- 屋根や外壁の一部が傷んでいる
- 雑草や庭木の管理がされていない
- 窓や扉が破損している
- 敷地内にごみがたまっている
- 長期間まったく管理されていない
といった状態が進行すると、行政から指導を受ける可能性があります。
問題が軽いうちに修繕や清掃を行えば、大規模な工事や処分を避けられる場合もあるため、早めの対応が重要です。
勧告を受けると住宅用地特例の対象外になる
住宅が建っている土地には、一定の条件を満たすことで固定資産税の負担を軽減する「住宅用地特例」があります。
固定資産税の課税標準は、小規模住宅用地では200㎡以下の部分について6分の1、一般住宅用地では200㎡を超える部分について3分の1とする仕組みです。
しかし、管理不全空家等または特定空家等について市区町村から勧告を受けると、その敷地は住宅用地特例の対象から除外されます。
その結果、固定資産税等の負担がそれまでより大きくなる可能性があります。
ここで注意したいのは、「特定空家等に指定された瞬間に固定資産税が一律で何倍になる」と決まっているわけではないことです。
実際の税額は土地の評価額や面積、自治体での課税状況などによって異なります。そのため、「空き家を放置すると固定資産税が必ず6倍になる」と単純に考えるのではなく、住宅用地特例が外れることで税負担が増える可能性があると理解しておくのが適切です。
行政から連絡が来たら放置しない
管理状態に問題がある空き家について、行政から指導などを受けた場合は、そのまま放置せず必要な改善を行うことが重要です。
たとえば、
- 庭木や雑草を除去する
- 建物の破損箇所を修繕する
- ごみや不要品を撤去する
- 倒壊のおそれがある部分を補修する
- 今後の管理方法を決める
といった対応が考えられます。
自分で管理することが難しい場合は、空き家管理サービスを利用したり、不動産会社へ売却を相談したりする方法もあります。
活用する予定がなく、今後も継続的な管理が難しい場合は、所有し続けることだけにこだわらず、売却や賃貸、解体なども含めて検討しましょう。
ポイント
空き家は、特定空家等になるまで放置してよいわけではありません。管理不全空家等や特定空家等について行政から勧告を受けると住宅用地特例から外れる可能性があるため、建物や敷地の異常は早い段階で改善しましょう。
参考:国土交通省
放置しないためにできること

空き家をすぐに売却・解体する予定がなくても、定期的に管理を続けることで、建物の劣化や防犯、近隣トラブルなどのリスクを抑えられます。
重要なのは、「誰も住んでいないから何もしなくてよい」と考えず、管理する人と頻度を決めておくことです。自分や家族で対応できない場合は、空き家管理サービスを利用したり、今後の活用・売却を検討したりする方法もあります。
| 対策 | 主な内容 |
|---|---|
| 定期的に訪問する | 建物・敷地の異常を確認する |
| 換気・通水を行う | 湿気や設備の劣化を防ぐ |
| 庭や外回りを管理する | 雑草・庭木・落ち葉を処理する |
| 防犯対策を行う | 施錠や郵便物を確認する |
| 今後の方針を決める | 売却・賃貸・解体などを検討する |
定期的に建物の状態を確認する
空き家は、定期的に訪問して異常がないか確認することが基本です。
室内だけでなく、屋根や外壁、窓、庭なども確認し、雨漏りや破損がないかチェックします。台風や大雨、地震などのあとには、普段より念入りに確認するとよいでしょう。
特に確認したいのは次のような部分です。
- 屋根・外壁の破損
- 雨漏りや水染み
- 窓や玄関の破損
- カビや湿気
- 害虫・害獣の侵入跡
- 庭木や雑草の状態
- 郵便物やチラシの蓄積
小さな異常の段階で対応できれば、劣化が広がって大規模な修繕が必要になるリスクを抑えやすくなります。
換気・通水・清掃を行う
閉め切った住宅では湿気がこもりやすいため、訪問した際には窓を開けて換気します。
室内のほこりや汚れを放置すると、カビや害虫などの原因になる場合もあるため、簡単な清掃も行いましょう。
また、長期間水道を使用しないと、排水口の封水が減って下水の臭いや害虫が室内へ入りやすくなることがあります。水道を使用できる状態であれば、定期的に蛇口を開けたりトイレの水を流したりするなど、設備の状態も確認します。
ただし、冬季の凍結対策など、地域や設備によって適切な管理方法は異なります。長期間使用しない場合は、水道や設備の管理方法を事前に確認しておくと安心です。
庭や外回りも管理する
戸建ての空き家では、室内だけでなく庭や敷地の管理も必要です。
雑草や庭木を放置すると、隣地や道路まではみ出したり、害虫の発生場所になったりする可能性があります。また、庭が荒れた状態は、外から空き家であることが分かりやすくなる原因にもなります。
そのため、
- 雑草を定期的に刈る
- 庭木を剪定する
- 落ち葉やごみを回収する
- 塀や門扉の破損を確認する
- 敷地内へ不審な物が置かれていないか見る
といった確認を行います。
近隣への影響が出る前に対応することで、苦情やトラブルを防ぎやすくなります。
防犯対策を行う
空き家では、玄関や窓の施錠だけでなく、「長期間誰も来ていない」と分からない状態を保つことも重要です。
郵便物やチラシが大量にたまっている場合は、空き家であることが外から分かりやすくなります。定期的に回収するほか、必要に応じて郵便物の転送手続きも検討しましょう。
窓ガラスや鍵が壊れている場合は早めに修理し、不法侵入につながる隙を残さないことも大切です。
管理が難しい場合は今後の活用を検討する
実家が遠方にある、仕事や家庭の都合で定期的に訪問できないなど、自分たちだけで管理するのが難しいケースもあります。
その場合は、空き家管理サービスを利用して、定期巡回や換気、郵便物の確認などを依頼する方法があります。
一方、今後住む予定がなく、管理費や固定資産税の負担だけが続いている場合は、管理を続けることだけが選択肢ではありません。
- 売却する
- 賃貸として活用する
- 家族が利用する
- 建物を解体する
など、今後の方針を検討しましょう。
空き家は「とりあえず残す」という状態が長くなるほど、管理の手間や費用が積み重なります。定期的に「今後も保有する必要があるか」を見直すことも、放置を防ぐための対策です。
ポイント
空き家をすぐに処分しない場合は、定期点検・換気・庭の管理・防犯対策を続けましょう。自分や家族だけで管理できない場合は、管理サービスの利用や売却・賃貸など今後の活用方法を検討することが大切です。
よくある質問
まとめ
空き家を放置すると、建物の劣化や不法侵入、害虫・害獣の発生、近隣トラブルなどにつながる可能性があります。管理状態が悪化すれば、管理不全空家等や特定空家等として行政の対応対象になる場合もあります。
すぐに売却や解体をしない場合でも、定期的な点検や換気、庭の手入れ、防犯対策を続けることが大切です。管理が難しい場合は、空き家管理サービスや売却・賃貸なども含めて今後の方針を検討しましょう。
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