親や親族から空き家を相続したものの、「売却した方がよいのか」「賃貸に出せるのか」「そのまま所有しても問題ないのか」と判断に迷う方もいるでしょう。
相続した空き家の主な選択肢は、売却・賃貸・管理しながら保有・解体の4つです。ただし、どの方法が適しているかは、建物の状態や立地、維持費、今後の利用予定によって異なります。十分に検討せず放置すると、固定資産税や修繕費がかかり続けるだけでなく、建物の劣化や近隣トラブルにつながる可能性もあります。
この記事では相続した空き家の扱い方と、売却・賃貸・保有・解体を選ぶ際の判断基準を整理して解説します。
この記事でわかること
- 🏠 相続した空き家をどうするか選べる4つの方法
- 💰 空き家を売却するのが適しているケース
- 🔑 賃貸に出す場合の条件と注意点
- 🛠️ 管理しながら保有する場合の負担
- 🏗️ 建物を解体する場合のメリットと注意点
- ⚖️ 空き家の扱いを決めるための判断基準
相続した空き家の選択肢

相続した空き家の主な選択肢は、売却・賃貸・管理しながら保有・解体の4つです。
どの方法が適しているかは、建物の状態だけでは決まりません。立地や維持費、相続人の意向、今後家族が使用する可能性なども含めて判断する必要があります。
| 選択肢 | 適している主な状況 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 売却する | 今後使う予定がなく、管理負担をなくしたい | 希望する価格や時期に売れるとは限らない |
| 賃貸に出す | 入居需要があり、建物を活用できる | 修繕費や入居者対応、管理費がかかる |
| 管理しながら保有する | 将来住む予定や活用方法が決まっている | 税金や維持管理の負担が続く |
| 解体する | 建物の老朽化が進み、活用が難しい | 解体費用や解体後の土地の扱いを確認する |
ポイント
空き家の扱いは、建物の状態だけで決めず、今後の利用予定・維持費・管理負担・立地を比較して判断します。解体や大規模修繕を先に行わず、まずは現状を確認して各選択肢を比較しましょう。
売却するケース

相続した空き家を今後使用する予定がなく、維持や管理の負担を終えたい場合は、売却を検討します。
売却できれば、固定資産税や修繕費、庭の手入れなどの負担を減らせます。ただし、建物の状態や立地によって売り方が異なるため、片付けや解体を先に進めず、まず不動産会社へ相談することが大切です。
今後住む予定がない
相続人や家族が今後住む予定のない空き家は、保有を続けるメリットが少ない場合があります。
誰も使用しなくても、次のような費用や作業は発生します。
- 固定資産税の支払い
- 火災保険の契約
- 建物の点検や修繕
- 庭木や雑草の手入れ
- 定期的な換気や通水
将来の利用予定が明確でなければ、保有期間が長くなるほど負担が増える可能性があります。
遠方にあり管理が難しい
空き家が現在の住まいから遠い場合も、売却を検討しやすいケースです。
定期的に通うには、交通費や移動時間がかかります。台風や大雨の後に建物を確認したくても、すぐに対応できないことがあります。
管理会社へ巡回を依頼する方法もありますが、管理費が継続的に発生します。今後利用する予定がなければ、管理を委託し続ける場合と売却する場合を比較しましょう。
維持費や修繕費の負担が大きい
築年数が古い建物では、所有中に修繕が必要になることがあります。
主な修繕箇所には、次のようなものがあります。
| 修繕箇所 | 放置した場合の影響 |
|---|---|
| 屋根・外壁 | 雨漏りや部材の落下につながる |
| 給排水設備 | 水漏れや悪臭が発生する |
| 床・柱 | 腐食や傾きが進む |
| 窓・玄関 | 防犯性が低下する |
| 庭・塀 | 越境や倒壊の危険が生じる |
修繕してから売る方がよいとは限りません。修繕費をかけても、その金額が売却価格に上乗せされるとは限らないためです。
現状のまま売却できる可能性がある
空き家は、家財や古い建物が残った状態でも売却できる場合があります。
主な売却方法は、次のとおりです。
| 売却方法 | 特徴 |
|---|---|
| 中古住宅として売却 | 建物を利用したい買主を探す |
| 古家付き土地として売却 | 建物を残したまま土地として売る |
| 更地にして売却 | 建物を解体して土地のみ売る |
| 不動産会社へ買取を依頼 | 仲介より早く売却できる場合がある |
どの方法が適しているかは、建物の状態や土地の需要によって変わります。片付けや解体に費用をかける前に、複数の不動産会社から査定を受けて比較しましょう。
ポイント
今後利用する予定がなく、維持費や管理負担が続く空き家は、売却を検討しやすいケースです。家財の処分や解体を先に行わず、現状のまま売れる方法も含めて査定を受けましょう。
賃貸に出すケース

相続した空き家に入居需要があり、今後も所有を続ける予定であれば、賃貸に出す方法があります。
家賃収入を得られる可能性がある一方、修繕費や管理費、入居者対応などの負担も発生します。貸し出せば必ず利益が出るとは限らないため、必要な費用と見込める収入を比較して判断することが大切です。
賃貸需要が見込める
駅や学校、商業施設に近いなど、生活しやすい地域にある空き家は、入居者が見つかる可能性があります。
ただし、立地がよいだけで賃貸に適しているとは限りません。建物の広さや間取り、築年数、駐車場の有無なども需要に影響します。
まずは不動産会社へ相談し、次の内容を確認しましょう。
- 周辺で同じような物件に需要があるか
- どの程度の家賃を設定できるか
- 入居者が見つかるまでの期間
- 修繕や設備交換が必要か
- 管理会社へ支払う費用はいくらか
見込める家賃だけでなく、空室になる可能性も含めて収支を考える必要があります。
修繕して活用できる
建物の状態が比較的よく、必要な修繕を行えば住める空き家は、賃貸に向いている場合があります。
長期間使われていない家では、見た目に問題がなくても、給湯器や水道、電気設備などが劣化していることがあります。貸し出す前に、入居者が安全に生活できる状態か確認しなければなりません。
主な確認箇所は、次のとおりです。
| 確認箇所 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 水回り | 水漏れ、排水、給湯設備の状態 |
| 電気設備 | 照明、コンセント、分電盤の不具合 |
| 屋根・外壁 | 雨漏り、ひび割れ、破損 |
| 室内 | 床や壁の傷み、カビ、臭い |
| 防犯設備 | 玄関や窓の施錠状態 |
| 庭・外構 | 雑草、庭木、塀の安全性 |
修繕費が高額になる場合は、家賃収入だけで回収できるか慎重に判断しましょう。
継続的に管理できる
賃貸に出した後も、所有者としての管理は続きます。
設備が故障した場合の修理、入居者からの問い合わせ、契約更新、退去後の原状回復などへの対応が必要です。自分で対応できない場合は、不動産管理会社へ委託する方法があります。
管理会社へ委託すると手間を減らせますが、管理手数料がかかります。委託範囲は会社によって異なるため、契約前に確認が必要です。
- 入居者募集
- 家賃の集金
- 設備故障への対応
- 苦情やトラブルへの対応
- 契約更新
- 退去時の立ち会い
遠方にある空き家を賃貸に出す場合は、現地対応を任せられる管理会社を選ぶと進めやすくなります。
収支が成り立つか確認する
賃貸に出すか判断する際は、家賃収入から必要経費を差し引いて考えます。
| 収入・支出 | 主な内容 |
|---|---|
| 家賃収入 | 入居者から受け取る毎月の家賃 |
| 修繕費 | 設備交換や建物の補修 |
| 管理費 | 管理会社へ支払う手数料 |
| 保険料 | 火災などに備える保険 |
| 税金 | 不動産の所有や所得に関する負担 |
| 空室中の負担 | 家賃が入らない期間の維持費 |
想定家賃だけを基準にすると、修繕や空室によって赤字になる可能性があります。不動産会社から家賃査定を受け、必要な初期費用と年間の支出を整理しましょう。
ポイント
空き家を賃貸に出す場合は、入居需要・修繕費・管理方法・空室リスクを確認します。家賃収入だけで判断せず、継続的にかかる費用を含めて収支を比較しましょう。
解体するケース

建物の老朽化が進み、修繕して住むことや賃貸に出すことが難しい場合は、解体を検討します。
解体すれば、倒壊や屋根材の落下などの危険を減らせます。ただし、解体費用がかかるうえ、建物を取り壊した後も土地の管理は続きます。更地にした後の活用方法まで決めてから進めることが大切です。
建物の老朽化が進んでいる
空き家の劣化が著しく、安全に使用することが難しい場合は、解体が選択肢になります。
特に、次のような状態が見られる場合は注意が必要です。
- 屋根や外壁が大きく破損している
- 柱や床に腐食や傾きがある
- 雨漏りが長期間続いている
- シロアリ被害が広がっている
- 塀や建物の一部が倒壊するおそれがある
- 修繕費が高額になる見込みがある
修繕によって使用できる可能性があっても、工事費が建物の価値を上回る場合があります。まずは建物の状態を確認し、修繕と解体の費用を比較しましょう。
土地として売却したい
建物を残したままでは買主が見つかりにくい場合、更地にして土地として売却する方法があります。
古い建物の撤去費用を買主が負担する必要がなくなるため、土地を探している人に検討してもらいやすくなる可能性があります。ただし、解体したからといって必ず早く売れるとは限りません。
| 売却方法 | 主な特徴 |
|---|---|
| 古家付き土地として売る | 解体費用をかけずに売却活動を始められる |
| 更地にして売る | 土地の形状や広さを確認してもらいやすい |
| 不動産会社に買い取ってもらう | 条件によっては短期間で売却できる |
先に解体すると、売却できるまで土地の維持費を負担することになります。不動産会社へ相談し、古家付きと更地のどちらが売りやすいか確認してから判断しましょう。
解体費用を負担できる
解体には、建物本体の撤去だけでなく、廃材の処分や付帯物の撤去にも費用がかかります。
費用を左右する主な条件は、次のとおりです。
- 建物の構造と広さ
- 敷地まで重機が入れるか
- 道路の幅や周辺環境
- 家財が残っているか
- 物置や塀、庭木も撤去するか
- アスベスト調査や除去が必要か
見積もりでは、建物の解体費だけでなく、廃材処分費や追加費用の条件も確認します。複数の業者へ現地調査を依頼し、作業範囲をそろえて比較することが大切です。
解体後の土地の使い道が決まっている
建物を取り壊した後は、土地をそのまま放置せず、今後の使い道を決めます。
主な選択肢は次のとおりです。
- 更地として売却する
- 駐車場として活用する
- 新しい住宅を建てる
- 家族が管理しながら保有する
- 隣地の所有者へ売却を相談する
活用方法が決まっていないまま解体すると、草刈りや不法投棄対策など、土地の管理負担だけが残る可能性があります。
ポイント
解体は、建物の危険を減らせる一方で、費用と解体後の土地管理が必要です。先に不動産会社や解体業者へ相談し、古家付きで売る場合と更地にする場合を比較しましょう。
管理するケース

相続した空き家を将来自分や家族が使う予定がある場合は、すぐに売却や解体をせず、管理しながら保有する方法があります。
ただし、誰も住んでいない家は劣化しやすく、税金や修繕費もかかり続けます。利用時期や管理方法が決まっていないまま所有を続けると、負担だけが増える可能性があるため、保有する目的と期限を明確にしておくことが大切です。
将来住む予定がある
転居や退職を機に実家へ戻る予定がある場合は、空き家を管理しながら残す選択肢があります。
ただし、「いつか住むかもしれない」という曖昧な理由だけで保有すると、使用しない期間が長期化しやすくなります。次の内容を家族で確認しておきましょう。
- 誰が住む予定なのか
- いつ頃から使用するのか
- 入居前にどの程度の修繕が必要か
- 保有中の費用を誰が負担するのか
- 予定が変わった場合はどうするのか
利用予定を定期的に見直し、一定期間を過ぎても具体化しない場合は、売却や賃貸への切り替えも検討します。
定期的に管理できる
空き家を保有する場合は、定期的な訪問と建物の点検が必要です。
窓を閉め切ったままにすると湿気がこもり、カビや木材の腐食につながります。水道を長期間使わなければ、排水口から臭いが上がったり、配管に不具合が起きたりすることもあります。
主な管理内容は、次のとおりです。
| 管理項目 | 主な作業 |
|---|---|
| 換気 | 窓や収納を開けて空気を入れ替える |
| 通水 | 蛇口やトイレの水を流す |
| 建物確認 | 雨漏り、ひび割れ、破損を点検する |
| 庭の管理 | 雑草や庭木を手入れする |
| 防犯対策 | 鍵や窓、郵便受けを確認する |
| 清掃 | 室内外のほこりやごみを取り除く |
遠方に住んでいて定期的に通えない場合は、親族へ依頼するか、空き家管理サービスの利用を検討します。
維持費を負担できる
空き家は使用していなくても、所有している限り費用がかかります。
主な負担には、固定資産税、火災保険料、修繕費、庭の手入れ、交通費などがあります。管理を業者へ依頼する場合は、管理料金も必要です。
突発的に屋根や外壁、水道設備の修繕が必要になることもあります。毎年の固定費だけでなく、将来発生する可能性がある修繕費も見込んで判断しましょう。
保有する目的と期限が決まっている
管理しながら保有する場合は、目的と見直し時期を決めておくことが重要です。
たとえば、「3年後に家族が住む」「5年以内に活用方法を決める」など、期限を設定します。期限が来た時点で利用予定がなければ、売却・賃貸・解体のどれに切り替えるか再検討します。
目的を決めずに保有すると、家族間で管理や費用の負担が曖昧になりやすいため、次の内容も共有しておきましょう。
- 管理を担当する人
- 訪問する頻度
- 費用の分担方法
- 修繕を行う判断基準
- 保有を見直す時期
ポイント
空き家の保有は、将来の利用予定が具体的で、継続的な管理と費用負担ができる場合に適しています。目的と期限を決め、定期的に保有を続けるか見直しましょう。
放置するリスク

相続した空き家の扱いを決めずに放置すると、建物の劣化や維持費の増加、近隣トラブルなどにつながる可能性があります。
誰も住んでいなくても、所有者には建物と土地を適切に管理する必要があります。売却・賃貸・解体の判断に時間がかかる場合も、定期的な点検や清掃を続けましょう。
建物の劣化が進む
人が住まなくなった家は、換気や清掃、設備の使用が減るため、劣化が進みやすくなります。
主に起こりやすい問題は、次のとおりです。
- 湿気によるカビや木材の腐食
- 雨漏りや外壁のひび割れ
- 排水口からの臭い
- 給排水設備の故障
- 害虫や害獣の発生
- 屋根材や外壁材の落下
小さな破損を放置すると、修繕範囲が広がり、売却や賃貸に必要な費用が増えることがあります。定期的に室内外を確認し、異常を早めに把握することが大切です。
税金や維持費がかかり続ける
空き家を使用していなくても、所有を続ける限り固定資産税などの負担が発生します。
| 主な費用 | 内容 |
|---|---|
| 固定資産税 | 土地や建物の所有にかかる税金 |
| 火災保険料 | 火災や自然災害に備える費用 |
| 修繕費 | 屋根・外壁・設備などの補修費用 |
| 管理費 | 清掃、換気、通水、庭木の手入れ |
| 交通費 | 遠方から確認に行くための費用 |
| 委託費 | 空き家管理サービスへ支払う費用 |
月ごとの負担が小さくても、数年間保有すれば総額は大きくなります。今後利用する予定がない場合は、保有を続ける費用と売却・解体にかかる費用を比較しましょう。
防犯や火災の危険が高まる
郵便物がたまっている、庭の雑草が伸びているなど、管理されていない状態が外から分かると、不法侵入や盗難の対象になるおそれがあります。
窓や玄関の破損を放置した場合は、第三者が入り込みやすくなります。室内に家財や可燃物が多く残っていると、放火や火災が発生した際に被害が拡大する可能性もあります。
防犯上のリスクを抑えるためには、次の対策が必要です。
- 郵便物を定期的に回収する
- 玄関や窓の施錠を確認する
- 庭や建物の外観を整える
- 不要な家財やごみを撤去する
- 定期的に人が出入りする状態をつくる
遠方に住んでいて管理できない場合は、親族や空き家管理サービスへの依頼も検討します。
近隣トラブルにつながる
空き家の管理不足は、周辺の住宅にも影響を与えます。
たとえば、庭木の枝が隣の敷地へ伸びたり、雑草や放置物に害虫が集まったりするケースです。屋根材や塀が壊れて落下すれば、人や車、隣家を傷つける危険もあります。
主なトラブルには、次のようなものがあります。
- 庭木や雑草の越境
- 害虫や害獣の発生
- ごみの不法投棄
- 悪臭や景観の悪化
- 屋根材や塀の倒壊
- 雨水や落ち葉による周辺への影響
苦情や事故が起きてから対応すると、急な修繕や撤去が必要になり、費用も増えやすくなります。
売却や賃貸が難しくなる
長期間放置して建物の劣化が進むと、売却価格が下がったり、賃貸前の修繕費が増えたりする可能性があります。
家財やごみが大量に残っている場合は、査定や内覧を行う前に片付けが必要になることもあります。建物の状態が悪ければ、買主や入居者が見つかりにくくなるでしょう。
将来売却する可能性がある場合は、劣化が進む前に査定を受け、現状でどのような売却方法を選べるか確認しておくことが大切です。
ポイント
相続した空き家を放置すると、建物の劣化だけでなく、税金・防犯・近隣トラブルの負担も重なります。処分方針が決まるまでの間も、定期的な管理を続けましょう。
よくある質問
まとめ
相続した空き家には、売却・賃貸・解体・管理しながら保有する方法があります。どの方法が適しているかは、建物の状態や立地、今後の利用予定、維持費、管理できる距離などによって変わります。
今後住む予定がなく、管理負担を減らしたい場合は売却が有力です。入居需要があり、修繕費や管理費を含めても収支が見込める場合は賃貸も選択肢になります。老朽化が進んでいる場合は解体、将来利用する予定が具体的に決まっている場合は管理しながら保有する方法を検討します。
空き家を放置すると、建物の劣化や税金・修繕費の負担、防犯上の問題、近隣トラブルにつながる可能性があります。家財の処分や解体を先に進めず、まずは建物と権利関係を確認し、複数の選択肢を比較して方針を決めましょう。
遺品整理でお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

